|
装置の概要
・ 本転造盤は4軸のサーボモータの協調制御を応用した丸ダイス用の転造盤です。欠円ダイスの使用も可能です。
・ ウオーム転造において、歯車部の軸に対する振れを転造の工程進行に合わせ独特な制御と機械構造にて最小となるよ うにコントロールします。
・ダイス回転軸は遊星歯車減速機構とサーボモータを一つのユニットとしダイス回転軸の回転伝達系の剛性を確保するレイアウトとしました。そして、は捻り剛性を低下させる伝達要素の追放に成功し忠実な転造性能が実現できまた。また転造軸の駆動部を含めた長さは700mmと、一般の転造盤に比べきわめてコンパクトな設計を実現しました。
一般的に転造盤は駆動系に長いプロペラシャフトと等速ジョイントを持ちますから捩れ剛性の低下や、偏角と回転角位置により捩れ剛性が変化します。捩れ剛性の変化は、精密ウオームの転造では歯面の面粗度、リード誤差などに影響を与えます。このような転造ウオー ムは、これを組み込んだ製品の振動、騒音の原因となり、昨今、市場が求めている静粛性を著しく阻害します。
・制御装置に工業用組み込みPCを採用し、専用ソフトの開発により自由度の高い転造条件設定を可能にしました。
転造プロセスの制御は転造加工の実際のノウハウを盛り込み、機械の取り扱いも含め効果的な生産を提供し
ます。転造中の各物理パラメータの計測機能もオプションとして用意しました。
・ 制御部は機械本体に搭載しコンパクトで床占有面積は750mm × 1,400mmと省スペースを実現しています。
・付帯装置として、転造油の循環システム(油タンクは機械本体に収納)、温調器が必要です。油の浄化装置は、鉄系のワークには磁石式のスラッジ分離器を設置します。SUS304等非磁性材料に対しては遠心分離器、ペーパフィルタ式濾過器を適用します。
|
|
開発要件の検討
機械の開発にあたって、まずその目的を明確にすることが重要です。なるべく具体的に、出来れば定量的が望ましいのですが定量的でもよろしいかと思います。また、直感的発想も大事です。
開発要件は以下のキーワードで検討します。
・ 安全,災害 FMEA,FTAなどの品質工学手法にて検証、確認する。
・ 基本機能 訴求点を明確に目的の実現手段の検討
・ 付帯機能 環境、機能維持などのに必要な機器の検討
・保守 管理基準項目の明確化や保守時の作業者の接近性など
・ コスト 市場、加工製品の付加価値、積み上げコストなどから検討
開発情報の収集として、もし類似装置や類似の加工工程が存在すればその分析をします。分析する場合、設計根拠の推定が重要となりますので出来るだけ定量的に把握するようにします。また、文献調査も重要です。開発する機械に関係する製品を扱うメーカなどに技術資料を問い合わせるのも有効です。
一般的に、生産設備はワークや工程の固有の仕様になりますので検討する視野が狭くなる傾向にあります。このようにして設計された機械は適用範囲が限定されてしまい、将来の拡張性に欠け製品の寿命と同時に設備も遊休となり効率的ではありません。そこで、現物の加工対象ワークを観察する事も重要ですが、ある程度対象ワークを抽象化し加工適用範囲を一般化するようにします。しかし、意味の無い自由度は大がかりな機構になったり、ともすれば守べき精度、剛性の確保がおざなりになり結果的に工程能力を著しく阻害します。そこで重要ことは、現在の製品のバリエーションの把握と将来のマップを的確に読むことです。よく現状の製品に対し新製品を置き換え将来マップと見做す場面を見受けますがこれは代替えマップで将来マップではありません。市場の動向や技術、機能への期待を十分把握し製品マップを用意することが必要です。
閑話休題、目的がある程度明確になったら実現する手段を検討します。 目的に添って実際の機械仕様の概要を纏めます。
・ 一般仕様 電源、エアー、給水、排水、集塵排気、油の処理、 騒音、基礎工事、官公庁への申請
・保守、メンテナンス 各部の寿命、定期点検、特殊技能の要求、人的要求(特殊技能など教育)
・ 機能、能力 加工範囲、精度、生産性 機能は基本機能と付帯機能を独立させる
・ 装置全体のレイアウト 床占有面積、作業スペースの確保(メンテナンスも含め)
・ 安全 非常停止、安全カバー、エアーのフィルタなど圧力容器の配置、ロックアウトなど
|
|
主機能につての具体的な目的と仕様について
丸ダイス転造の歴史は古くメジャーなメーカから特徴的な転造盤が供給されています。 そのほとんどの転造盤は転造ダイスの押し込みに圧力制御を用い、転造の押し込み前端位置は機械式ネジ機構によって管理されます。 この機構は機械剛性や転造圧力の設定により転造仕上げ位置が微妙に変化します。 従って転造仕上げ径の微妙な調整や再現には熟練を要します。 また、転造工程のコントロールはが難しく転造速度、回転変動などのモニタはできません。
さて、転造工程に期待するさらなる可能性についてですが、勿論転造精度の向上であったり加工時間の短縮など製品の直接的競争力の強化となることでしょう。しかし、本機の開発では目標を一歩(5,6歩かもしれない)手前置き、まずはいかに転造工程が精密にコントロール出来るか、再現性があるか、外乱の影響を排除でかるとしました。
なぜ転造盤の制御に目標を設定したかと申しますと以下の理由からです。
・ 従来の転造盤で加工したウオームのなかにも時々高精度のウオームの加工がある確率で得られる。従って条件によって高精度の転造が成立する可能性がある。
・ 転造工程は理論的解析が難しく例えば圧下率、転造圧力、盛り上がり、軸方向の伸び、歩みについては定量的に把握されていない。
・再現性が十分であれば 転 造条件が明確になり量産にスムーズに反映出来る。
・ 機械の開発手法を従来のプロダクトアウトから、マーケットイン、ライフサイクルエンジニアリング的に進める。 そうすれば、より早く 最新の確立技術を生産に供与、反映出来き、また絶えず転造の実際を観察し、即設備開発にフィードバック することができます。
即効性に欠けますが、本来の目標である「付加価値の高い転造」の実現に逐次近づくことになります。 (現実は稼動中の機械の変更が難しいこ
と、結果が劇的でく目立たないので理解、評価され辛いなど難しい点があります。結果の評価はに当な評価関数を設定して定量的に把握することが 大事です)
さて、プロトタイプ(実際に稼働させる事になるりますが)の基本性能は従来の転造盤の条件が簡単に再現出来ること、機械の製造コストは従来機と遜色ないこととしました。(新規転造盤を導入しても転造工程の製品コストは同じかむしろ下げねばならないからです)。 そして、転造盤の仕様は従来機のネガの解決と新規機能の設定の二つの方向から段階的に改善し将来につなげる事としました。
|
従来機と開発機の仕様比較
従来機について、名称は控えさせて頂き、「油圧転造盤」と呼びます。
油圧転造盤の問題点
・圧力制御型のため転造押し込み速度が不安定となる。 転造工程の進行に伴い、等価降伏応力(接触投影面積で転造力を除する)は元々の材料の10倍ほどまで変化する
。この変化は油圧サーボを備えたたとしてもそれほど開ループ伝達関数のゲイン、応答性が高くないので、ダイスの 押し込み条件は絶えず変化、一定条件とすることは難しいと考えられます。また、転造圧力変動はダイス回転と緩衝し
転造加工に悪影響を与ることになります。 経済的な問題としては過剰の応力がダイス先端に加わるためチッピング、異常摩耗などダメージが著しく、ダイス寿命の低下を招きます。
・動作油の温度、経年変化の影響が著しく(勿論設置される工場の環境にも因りますが)転造条件が数十パーセント変動します。
・転造条件の設定が客観的に出来ない。例えば転造速度、転造力、仕上げ位置の設定が定量的に把握出来ない、このため仕上がり寸法の計測、微調を繰り返すし寸法の追い込み工程に多くの工数を投入する。
・機械の剛性がない。これは元々設計的なねらいがあるのだろう
・ダイス回転軸の移動をプロペラシャフトと等速ジョイントにて実現しており、シャフトの長さが長く、ジョイントの 動作角度による回転方向の剛性変化が顕著に表れる。
従って、ダイスの角速度の変化が生じ、左右の2つのダイス軸の同期性が難しく悪い。また、軸の捻り方向の共振周波数 が数十Hzと低い。 (ダイス直径180mm,回転数50rpm,転造ワーク接触円直径3.5mm
とすれば2572rpmとなり基本振動が42Hzです)
・ダイス回転の同期性は加工ワークのねじれ角、径、転造力(等価降伏応力)に影響を与え、結果的にウオームのリード誤差、真円度 (楕円),振れ精度の低下を招きます。 制御も含め同期性が保障されていれば、ダイス幾何公差の転造にたいする
影響を知ることがですます。 前項の回転機構は左右の伝達系が対称でないのでこの同期性を低下させる原因になっています。
・公称150kNの油圧転造盤にて、転造押し込み位置は0.03mm/10kNの位置変化を示しす。例えば材質S35C-S45Cで接触投影面積から必要転造力を概算すると40kN必要となる小型ウオームでは、転造圧力の設定と材質、転造速度
などによる変形抵抗の変化で仕上がりは大きくばらつくことが予想出来ます。また、軸の固定は転造ダイスを Φ54mmの忠実シャフトの中央に装着し片側を自由支持、もう一方を単純支持で撓みに対しそれほど考慮されていない構造で、ダイス軸の回転伝達機構とあわせ、精密な転造には適さない構造となっています。
・転造圧下速度は圧力に依存します。実際の圧力-流量特性はおおよそ圧力を2倍にすると20%程度の流量増加が認められます。
・開発機のスビンドルの構造を下図に示します。スビンドルの設計要件としてダイス送り量やダイスの回転が忠実にワークに 伝わる事を主眼に軸受け構成を決めました。まず軸にかかる曲げモーメントの効果的支持方法。これはダイスを挟む軸受
間の距離を必要最小にする。次に、複列ローラ軸受けを適当な間隔に配置し曲げモーメントを支えると同時にベアリング 装着部のスビンドル軸径をダイス装着部より太くし変形を押さる構造としました。ベアリングの装着は初期のラジアル
隙間が+隙間のもの選定し、組み込まれた時に絞まりバメになるよう公差をスピンドルとハウジングに按分しました。締結方法は焼きバメを 採用しました。
アキシャル荷重はスラストベアリングを採用し予圧は、転造によるワークの軸方向の剪断加重の 10〜40%程度としました。ここで、スピンドルの撓みは簡単な計算ですのでここでは割愛させていただきますが、従来機に対し格段の静、動的精度を実現しました。
・軸端をリジッドとすると発熱による熱膨張が課題になります。 ダイスに投入されるエネルギーは駆動サーボモータが2〜3Kw *3台ですから定格でおお
よそ9kwにもなります。熱膨張はスピンドル固定位置からダイス装着部まで200mm程ありますら左右スピンドルの温度差が 5度以内となるようしなければなりません。そこで加工ポイントからスピンドル、軸受け箱、タンドまでの熱伝達系と熱容量が同一となる構造とし、ベアリングは熱抵抗が小さくなるように複列ローラベアリングを採用し予圧をかけることで課題を解決しました。 転造油の冷却効果は加工点、ダイス、ダイススペーサに左右ほぼ均等に掛け流しをするとその差はほとんどありませでした。
---- 続きは後日 ----- |
スビンドル図
|